弁護士の報酬

 

「わかりにくい」、「高い?」といわれる弁護士報酬を、
不正確承知で、主観を交え、あえてざっくばらんに解説します。
ここでの解説が全ての弁護士にあてはまるわけではありませんので、
あくまでも「ひとつの参考」としてご覧ください。

※平成16年4月1日から、弁護士会所定の「弁護士報酬規定」が撤廃されまし た。

したがって、業界一律の弁護士報酬規定は存在しません。

以下の説明は、現在、そのままには適用されておりませんのでご留意 下さい。

各項目は今後適宜修正して参りますので、あしか らずご了承下さい。

<目 次>
総 論
法律相談料

顧問料

訴訟事件
示談交渉
債務整理・破産
書面作成

参考資料<旧・東京弁護士会・弁護士報酬標準規定抜粋>

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― 総 論 

弁護士の報酬には何か基準があるのか?
 日本弁護士連合会の内規として「弁護士報酬規定」というものがあり、これを受けて各地方単位弁護士会でそれぞれ多少の修正を加えた「弁護士報酬規定」がありました。しかし平成16年4月1日からこれらは撤廃されました。
 現在は、各弁護士が所属事務所において独自の報酬規定を定立してこれに基づいて説明・請求することになっています。
 詳細は 、弁護士会のホームページをご覧ください。

弁護士はどうやって報酬を請求するか?
 多くの弁護士が、@着手金とA報酬金、それからB実費を請求しています。このうち@とAをあわせて、「弁護士報酬」といいます。
<着手金>
 事件の依頼を受ける時点で申し受ける費用です。原則として一括してお支払いいただき、この着手金がないと原則として事件処理を進めません。
 ただ、実際、信頼関係のある依頼者とか困窮していてすぐ支払えない人の場合は、着手金は後払いとか分割とかにして受任してしまうケースも。
 ちなみに弁護士の報酬には消費税がかかります。
<報酬金>
 事件が終了して何らかの結果が出た場合に申し受ける費用です。着手金と同額以上となるケースが多いです。
 たとえば、裁判で全面勝訴の場合は、報酬金は満額発生しますが、全面敗訴の場合はいただかないことになります。一部勝訴の場合は割合的に請求します。全面敗訴しても着手金は返還しないのに対して、報酬金は割合的に調整される点が両者の違いです。
<実費>
 交通費、通信費、コピー代、申立印紙代などの実費です。殆どかからない案件であれば、いちいち清算せずに着手金込みにしてしまう先生も多いと思いますが、原則として、適宜清算してお支払いいただきます。
 なお、渉外事務所(国際法律事務所)系では、海外の例にならって「タイムチャージ」で報酬請求するところも多くなっています。
 これは、予め弁護士の時給を決めておいて、依頼案件を処理するについて何時間かかったか、時給×時間数で請求するやりかたです。ただ、依頼者にしてみれば単価は明朗でも、時間数が不明朗になりやすいという面があります。一日が36時間あるという先生もいるとかいないとか・・・(冗談)

報酬説明義務と委任契約
 弁護士は事件を受任するに際して、予め依頼者に対して報酬基準や報酬見込み額を具体的に説明することになっています。この説明のための冊子が弁護士会によっては用意されているところもあります。
 そして報酬について十分説明して依頼者の理解を得た上で、書面で委任契約を締結することになっています。
 したがって、報酬について理解できない場合には、委任する前に、弁護士に十分聞いておく必要がありますし、弁護士としては説明しなければなりません。
 事件によっては決して安い出費ではありませんから、全部弁護士にお任せというのではなく、十分理解した上で依頼しましょう。逆に、報酬についてあいまいな説明しかしてくれない弁護士には依頼しないほうがいいかもしれません。こういう弁護士は殆どいないはずですけれども。

高い方が優秀な弁護士?
 そんなことはありません。
 得てして良心的な弁護士ほど、従来の報酬規定の再下限に近いところで報酬を請求していたような気がします。
 看板の大きな大事務所とか高名な先生だと、それなりに報酬も高額で、支払う方にしてみれば、「これだけ払ったんだからさぞかし良い結果を出してくれるだろう」とか「優先してやってくれるだろう」とか思いがちですが、こういう因果関係はないと思ってください。
 司法試験と司法修習という統一試験・研修を経て、かつ弁護士会の統一的監督や研修を受けつつ生きてきているのが弁護士ですから、よほど特殊分野でない限りは、弁護士の基本的知識やテクニックというのは、概ね横並びです。だから、報酬が高い弁護士が優秀なわけではありません。逆に安いからダメというわけでもありません。
 とはいえ、一般市民としては、弁護士を外見で判断するしかないわけで、そうであれば、報酬の高い低いよりも、事務所の雰囲気だとか弁護士の人柄・話し方などで判断した方がマシです。
 ちなみに、私が仮に弁護士を依頼するとしたら、
  ・看板や事務所の大小は不問
  ・概ね弁護士経験5年以上30年以下(年齢・男女不問)
  ・報酬について十分説明してくれる
  ・事件の見通しについて甘いことだけをいわず、厳しい見方もできる
  ・事務職員の対応がいい
  ・派手な広告宣伝や営業活動をしていない
  ・弁護士会での役職(会長経験者とか)や経歴は不問
  ・質問に対して弁護士自身が親切に応対してくれるかどうか
  ・第一印象で「ヘン」じゃない(笑)
 などの判断要素が決め手です。

報酬を取りっぱぐれたらどうするの?
 幸い、私の場合はそれほど報酬の取りっぱぐれは多くありませんが、それでも大抵の弁護士が、報酬を払ってくれない依頼者に当たった経験があります。
 まず着手金は、これがある程度揃わなければそもそも受任しませんから、取りっぱぐれはありません。実費もたいがいは前払いです。よほど信頼できる依頼者以外は、立替はしません。
 問題は報酬金です。
 被告事件の依頼者などは、依頼するときは切実にお願いに来ますが、いざ解決すると支払ってくれない人がタマにいます。被告事件は、全面勝訴しても被告としては何も得るものがありませんので、弁護士がいなくても同じだったと錯覚されるようです。
 ですから、弁護士によっては、被告事件の着手金は、原告事件よりも高めに設定して、最終的に報酬金で調整する考え方の人もいるようです(報酬が取れなくても着手金で回収してしまう)。
 原告事件の場合は、例えば相手から回収したお金を一旦弁護士が預かって、この中から依頼者の了解のもと、報酬金を相殺して渡したりすることが多いので、被告事件ほど取りっぱぐれはありません。
 いずれにしても、弁護士費用が最終的に払えない場合でも、弁護士は商売人ではありませんから、事実をありのままに言ってくれれば、分割などに応じてくれる人が多いと思います。
 要するに、ちゃんと仕事をした弁護士に対する礼を尽くしてくれれば、無理はいわないわけで、これを欠くと、こんどは弁護士が依頼者に対して債権を法的に請求する残念な事態になってしまうのです。でもよほど依頼者に不信がなければ、滅多に法的請求する弁護士はいませんけど(ナイショですよ)。

でもやっぱ、高いよなぁ・・・
 このページを熟読しても、やっぱり弁護士の報酬は高いと思われる方は多いと思います。
 ただ、今の弁護士業務は、既製品の大量生産販売ではなく、オーダーメイドの手作り限定生産販売だと思ってください。
 依頼者の意見や個別の案件に応じて、弁護士がいちいち頭をひねり時間をかけながら一歩ずつ解決に向けてお手伝いしてゆく「職人」ですので、それなりの費用はかかってしまいます。逆に、大量生産ができないのが弁護士業務ですから(これは弁護士の数が増えても同じことです)、どうしても単価は上がります。
 例えば、離婚調停事件を着手金30万円で受けたとしましょう。
 弁護士は、依頼者との打ち合わせを最低でも4〜5回はするでしょう。1回1時間以上の打ち合わせです。そして、調停となれば、申立書や資料を整えるのに何時間もかかります。さらに調停が始まれば、1回2時間くらいかかる調停に、事務所から裁判所まで往復1時間程度かけて、ほぼ半日仕事で取り組むわけです。これが1年も2年も続くことがあります。この間、追加資料を作ったり、相手方や裁判所と連絡したり、何か有効な攻撃防御方法はないかと頭をひねらせたり・・・。これを弁護士だけでなく、事務職員と連携して行っているわけです。
 どうです、決して高くはないのではないですか。それでいて、既製服ではなくて、あなたのオーダーメイドなのです。
 ちなみに事件依頼なんて毎日あるもんじゃありませんから、一日の売り上げゼロという日も多いのが法律事務所です。決して儲かる仕事ではありません。
 それから、簡単に解決したケースであっても、弁護士がその名前と蓄積された経験を使ったからこそ短期円満解決したということを評価してください。
 日本では無形の知的生産物に対する評価が低いような気がしますが(ソフトの違法コピーの横行などその最たるものです)、弁護士が何気なく提案した解決策というのは、多くの経験や弁護士の努力があってこそ提案できたものです。この解決策を弁護士が自信を持ってお勧めできるようにするために、弁護士は大きな努力を重ねて研鑽を続けているわけですから、知的生産物としての弁護士業務も理解して欲しいと思います。
 時々、「先生、面談だと相談料がかかるんですよね。じゃぁ、電話でいいです。」といって、電話相談が無料だと勘違いされる方がいますが、よく考えてみてくださいね。

ちょっとくらいは、無料で仕事をせぃ!
 弁護士会などでは、各所で無料法律相談会を開催するなどして、無償のリーガルサービスを図っています。また、法律扶助協会が設置する法律援助センターなどでは、資力の乏しい人のために無料相談所を常設しています。
 このHPの<法律相談箱・掲示板>も、個人的な社会奉仕の一貫として行っているものです。別に対価が得られるわけではありません。
 ただ、これはあくまでも法律相談のレベルでして、これ以上に、訴訟や示談交渉、書面作成を無料で行うことはあまりありません(全くないとはいいませんが、これはここの弁護士の考え方と裁量です)。
 正式に依頼を受けた事件にまつわるちょっとした案件をオマケとして無償でやることはよくありますが、全部を無料で受任することはしません。
 いくら弁護士が商売人ではないといっても、自分の生活や事務所を維持しなければいけませんから、報酬は頂戴しなければならないことは、いうまでもないでしょう。
 そればかりでなく、受任した以上、報酬の多寡に関わらずベストを尽くすのが弁護士の義務ですから、報酬を頂戴しないで事件処理することは、報酬を頂戴して事件を依頼した方にとって失礼です。
 また、無償であっても、弁護士としての責任は発生するわけで、無償の仕事で万一責任を負わなければならない事態になることは、人情的に釈然としないところです。
 ですから、法律相談のレベルでは、無料相談を相当程度行っていますし、当番弁護や弁護士会活動などで、無償の社会奉仕を普通の人以上におこなっているはずので、この点を是非ご評価下さい。
 なお、資力に乏しい方で勝訴の見込みのある訴訟事件や、生活保護受給者の破産申立については、法律扶助協会による弁護士費用立替の制度があります(「よくある質問集」参照)。

ちょっとくらいは、無料で仕事をせぃ!
 このページを熟読しても、やっぱり弁護士の報酬は高いと思われる方は多いと思います。
 ただ、今の弁護士業務は、既製品の大量生産販売ではなく、オーダーメイドの手作り限定生産販売だと思ってください。
 依頼者の意見や個別の案件に応じて、弁護士がいちいち頭をひねり時間をかけながら一歩ずつ解決に向けてお手伝いしてゆく「職人」ですので、それなりの費用はかかってしまいます。逆に、大量生産ができないのが弁護士業務ですから(これは弁護士の数が増えても同じことです)、どうしても単価は上がります。
 例えば、離婚調停事件を着手金30万円で受けたとしましょう。
 弁護士は、依頼者との打ち合わせを最低でも4〜5回はするでしょう。1回1時間以上の打ち合わせです。そして、調停となれば、申立書や資料を整えるのに何時間もかかります。さらに調停が始まれば、1回2時間くらいかかる調停に、事務所から裁判所まで往復1時間程度かけて、ほぼ半日仕事で取り組むわけです。これが1年も2年も続くことがあります。この間、追加資料を作ったり、相手方や裁判所と連絡したり、何か有効な攻撃防御方法はないかと頭をひねらせたり・・・。これを弁護士だけでなく、事務職員と連携して行っているわけです。
 どうです、決して高くはないのではないですか。それでいて、既製服ではなくて、あなたのオーダーメイドなのです。
 ちなみに事件依頼なんて毎日あるもんじゃありませんから、一日の売り上げゼロという日も多いのが法律事務所です。決して儲かる仕事ではありません。
 それから、簡単に解決したケースであっても、弁護士がその名前と蓄積された経験を使ったからこそ短期円満解決したということを評価してください。
 日本では無形の知的生産物に対する評価が低いような気がしますが(ソフトの違法コピーの横行などその最たるものです)、弁護士が何気なく提案した解決策というのは、多くの経験や弁護士の努力があってこそ提案できたものです。この解決策を弁護士が自信を持ってお勧めできるようにするために、弁護士は大きな努力を重ねて研鑽を続けているわけですから、知的生産物としての弁護士業務も理解して欲しいと思います。
 時々、「先生、面談だと相談料がかかるんですよね。じゃぁ、電話でいいです。」といって、電話相談が無料だと勘違いされる方がいますが、よく考えてみてくださいね。


― 法律相談料 

30分5000円以上
 旧報酬規定によると、30分5000円以上となっていました。
 弁護士会が公設している法律相談センターでは、一律30分5000円(消費税別)ですし、私もそれにならって30分5000円程度で相談を受けています。大体の相場がこの基準に従っているといっていいのではないでしょうか。
 ただ、 「5000円以上」ですから、高名な先生の中には一回何万円という単位で請求なさる場合もあると聞いています。ですから、あとでびっくりしないように、予め相談料がいくらになるかはよく聞いておいた方がいいでしょう。
 相談料も報酬の一種ですから、予め説明しておく義務が弁護士にはあります。だから、遠慮なく、予約を入れる際に聞いてもらっていいんですよ。
 ちなみに、私は、相談の上、事件依頼を正式に受ける場合は、直前の相談料は免除していることが多いですし、30分を1分経過したからと言って杓子定規に超過料金を請求しているわけでもありません(1時間の相談でも、依頼者の人柄や事情などによって30分ぶんしか請求しないこともありますし)。これは、多くの弁護士がそうやっているのではないでしょうか。

何度も話を聞くとその都度相談料がかかる?
 顧問契約を結んでいる場合は、相談料がその都度かかることは原則としてありません。
 ただ個別の法律相談では、同じ案件でも、その都度時間に応じて清算するのが普通です。直接事務所を訪問した場合に限らず、電話や手紙などで相談した場合も同じ扱いです。
 でも、相談の結果、事件として正式依頼するような場合には、その事件報酬の中に相談料を込みにしてしまうケースが多いと思います。受任した事件の中での打ち合わせ相談には費用はかかりません。

電話やメールによる相談は?
 法律相談は、面談が原則ですが、場合によっては、電話やメールによって行うことも可能です。
 なぜ面談が原則かというと、資料などがあればそれを拝見できますし、リアルタイムに会話しながらの方が理解度も情報量も多くなって的確なアドバイスがしやすいからです。
 ですから、顧問契約者などを除いて、面談できないやむを得ない事情でもない限り、弁護士会の法律相談センターや法律事務所に予約を入れた上でお越し下さい。
 そして、電話やメールの場合も、上記法律相談料がかかりますので、電話だから無料だとは思わないでください。
 またメールによる相談の場合は、面談よりも普通手間がかかりますし、内容によっては「法律鑑定」といって、一種の鑑定書作成に準じた形で相談料以上の鑑定料がかかる場合もあります。
 ですから、電話やメールによる相談は、あくまでも顧問契約者や正式依頼者が相談する場合の補助的手段だと思っておいて下さい。


― 顧問料 

個人は年間6万円以上。事業者は月額5万円程度
 顧問弁護士の報酬のことを顧問料といいますが、弁護士会の旧報酬規定によると、事業者の場合は、月額5万円以上、非事業者の場合は、年額6万円(月額5000円)以上となっていました。現在もこれに準じて報酬決定されるような気がします。
 全くの個人の方であれば、月に1回法律相談をすればモトが取れる勘定ですね。保険・セキュリティ・定期健康診断の一種と考えれば決して高くないように思います。

顧問弁護士は、何をやってくれるのか?
 顧問契約とは、簡単にいえば、いちいち法律相談料を支払わずに適宜法律相談を受けてくれるように契約を結ぶことです。
 顧問契約を結ぶと、通常30分5000円の相談料がかかる法律相談が、一定範囲で無料になります。また、通常の法律相談は、弁護士会や弁護士事務所に赴いて面談するのが原則ですが、顧問弁護士であれば、電話やファックス、電子メールなどでも気軽に相談できます。継続的なおつきあいになりますから、信頼感や安心感が涌くのではないでしょうか。
 なお、顧問弁護士であっても、示談交渉や訴訟などの手続を依頼したり、書面作成をお願いする場合は、別途弁護士報酬を頂くことになっています。ただ、顧問のよしみで標準額よりも値引きして受任してくれる先生が多いんじゃないでしょうか。
 ちなみに、私の事務所で使用している「顧問契約書」(個人の場合)のサンプルはこちらです。ご参考になさってみてください。※全ての弁護士がこのサンプルのとおりの内容で顧問契約をしているとは限りません。


― 控訴事件 

何を基準にして算定するか?
 「経済的利益」というものを基準にして算定します。
 この経済的利益とは、たとえば、1000万円の金銭請求事件であれば、この1000万円(訴額ともいいます)のことです。請求される側であっても同じことです。また土地の場合は、固定資産評価であるとか時価を基準にして経済的利益を定めます。どうしてもお金に引きなおせない算定不能なケースの場合は、800万円を経済的利益にすることになっています。
 この経済的利益に対して、以下のとおり、一定率を掛け合わせた金額が標準報酬ということになります。

この基準からどうやって報酬を算定するのか?
 経済的利益に応じて、報酬規定に定められた割合を掛けたものを着手金、報酬金の標準額としています。  この割合は、旧報酬規定によれば、
<着手金> 
   300万円以下の場合             8%
   300万円を超え3000万円以下の場合  5% +   9万円
   3000万円を超え3億円以下の場合    3% +  69万円
   3億円以上の場合               2% + 369万円
<報酬金>
   300万円以下の場合            16%
   300万円を超え3000万円以下の場合 10% +  18万円
   3000万円を超え3億円以下の場合    6% + 138万円
   3億円以上の場合               4% + 738万円
 と規定されていました。
 でも、この標準報酬どおりに請求される先生は多くないんじゃないでしょうか。余裕のある個人や会社ならともかく、一般の人は、なかなかこれだけの高額はいっぺんに用意できないでしょう。報酬規定が撤廃された現在は、別の合理的な報酬計算方法を工夫されつつある弁護士が多くなってくると思います。
 ですから、着手金は低廉にする代わりに、成功報酬は規定どおり頂戴するとか、着手金は一律30万円から100万円の範囲内で事件の難易度に応じて協議した上で決めるというやりかたにしている先生も多くなってくるはずです。
 いずれにしても、予め示された報酬額が用意できそうになければ、金額や支払方法について、ざっくばらんにお話されて構わないと思います。
 ただ、報酬はそれなりに事件の難易度や事務所としての手間を考えての上のことですので、各弁護士ごとに考え方に微妙な違いがあるのは致し方ないところです。報酬が高いから良い仕事をするとか、安いからいいかげんな仕事しかしないとか、こういう因果関係もありません。

弁護士費用、勝ったら相手に請求できるのか
 弁護士報酬は、裁判に勝ったら相手に請求できるかというと、それはできません。一部の訴訟(交通事故事件や複雑な事件)では、訴額の一割を弁護士報酬として上乗せして訴えを起こすことがありますが、これも当然に相手に請求できるという前提でやっているわけではありません。
 したがって、弁護士報酬は、勝っても負けても自己負担というつもりで考えておかなければなりません。なお、裁判の申立て費用の実費だけは(貼用印紙代など)、勝訴判決を得られれば相手に請求できます。

被告事件の報酬
 被告として訴えられた場合、全面勝訴しても、被告側としては払わなくていいものを払わなくてよくなったという当然の結果が出るだけで、何も得るものがありません。しかしこの場合でも、着手金だけでなく報酬金は全額請求できることになります(原告の請求額を払わなくて良くなった分だけ経済的利益とみなします)。
 その弁護士が応訴したからこそ払わなくてよくなったわけですから、結果として経済的に何も得られなかったとしても、やはり報酬金は発生します。被告事件の場合は、終わってみると、弁護士がいてもいなくても同じだったかのように錯覚される方もいらっしゃるようですが、是非、弁護士の努力を評価してもらいたいと思います。

ざっくばらんに、幾らなんだい!?
 といわれても、一般論としては、あくまでも弁護士ごとに個別に決めた報酬基準によるとしか言いようがないんです。
 ・・・が、しかし、何人かの弁護士同士で話したところ、相談を受けた時点でのおおよその見通しによって、事件を「平易」、「普通」、「困難」、「特殊」と4分類して、着手金をそれぞれ「30万円」、「50万円」、「70万円」、「100万円超」という風に固定化してしまっている人もいます。
 私の事務所も暫定的にこれに準じた形にしていますが、なんとなく着手金の相場というのは、おおよそそんなものなのかなという統計的感覚はありました。


― 示談交渉 

示談交渉って?
 事件に際して、裁判以外の方法で事件解決に向けて交渉することを全て示談交渉といいます。裁判にせずに、早期円満に解決できるならそれに越したことはなく、大抵の弁護士は、訴訟にする前に示談解決できないかどうか考えるものです。
 この示談交渉の場合の報酬金は、上に述べた訴訟事件の報酬金に準じますが、訴訟事件よりも手間がかからないことが多いので、安く済むことが多いはずです。但し、オーダーメイドであることからして、10万円以下になることは少ないと思います。

示談交渉から訴訟事件に移行したら・・・
 示談交渉を依頼して、どうもうまく話し合いがつかなかった場合には、訴訟事件に進展する場合があります。
 この場合は、事件は別扱いになりますので、訴訟事件について改めて着手金と報酬金が発生します(示談交渉事件については不成功となるわけですから、着手金だけで報酬金は発生しないのが普通でしょう。)。
 このように、以来事件毎に着手金と報酬金を精算するのが建前です。極端な話、
 示談交渉→保全処分→第一審訴訟→控訴審訴訟→強制執行
 と推移したような場合は、事件としては5件分となります。
 ただ、全部の弁護士がこのように厳密に報酬を請求しているかというと、まずしていないと思います。
 数回示談交渉しただけで訴訟に移行したような場合には、例えば、示談交渉時に10万円の着手金を受領していて、訴訟時には本来20万円の着手金が請求できるような場合でも、合計30万円になるのではなく、訴訟事件の着手金だけという扱いにして差額の10万円を追加請求するだけにするケースも多いはずです。同様に、訴訟で勝訴したが相手が任意に支払をしないため強制執行をせざるを得ない場合も、簡単な申立であればオマケとして着手金なしで申し立てしてくれる場合があるでしょう。
 一応、厳密には事件毎に報酬が請求できるということを知っておいていただいて、個別に請求されなかったり、差額だけでいいと弁護士に言われた場合は、サービスしてもらったと思ってください。



― 債務整理・破産 

任意整理の費用はいくらかかるか?
 クレジットサラ金業者に関する東京の三弁護士会の公設する法律相談センター経由の事件については、任意整理(返済方向での示談交渉)は、着手金・報酬金それぞれ、一業者あたり2万円となっています。
 また同じく法律相談センター経由の破産事件では、着手金・報酬金は、債務総額と債権者数に応じて、それぞれ20万円から50万円の範囲内となっています。
 これ以外に、個別に弁護士に依頼される場合は、もう少し費用がかかるケースが多いと思います。
 また、相手が商工ローンであるとかクレサラ以外の債務であるとか、解決の困難性が予想される事案では、上記示談交渉案件に準じて着手金・報酬金を決めることが多いでしょう。
 なお破産申立の場合、何らかの価値ある資産を持っている場合(自宅・預金・車・保険・売掛金など)には、その価値の度合いによっては、管財事件といって裁判所が破産管財人を選任して手続きを進めますので、その手続き費用として、東京近県の場合には、弁護士報酬とは別に裁判所予納金等としておおよそ20万円が別途必要です。
 無一文になってから破産申立を弁護士に依頼しようとしても、仮に弁護士費用は後回しにしてもらえても、裁判所予納金は免除されませんから破産できないということになってしまいます。ぎりぎりまで我慢するよりも、早めに弁護士のところに相談に行くというのが鉄則です。返済のための借入が始まったら、これはすぐ相談に行ったほうがいいでしょう。

お金がないのに、どうやって払えばいいのか?
 債務整理や破産をする人はただでさえお金がないからそうするのに、どうやって弁護士費用を払えばいいのでしょうか。
 弁護士が介入すると、その時点から暫く返済をストップします。返済をストップしても、債権者(金融業者)は債務者に対して督促してはならないという決まりになっています(金融監督庁事務ガイドライン)。
 この間、債務整理ないし破産申立の準備が整うまで2〜3ヶ月はかかるのが普通ですから、いままで返済に回していたお金の一部を弁護士費用や破産申立費用に回せばいいわけです。
 もちろん、このために申立や処理を遅らせるなどの迷惑を債権者にかけるわけにはいきませんから、足りない分は、弁護士によっては分割で構わないといってくれる先生もいるでしょう。
 また、生活保護受給者の破産申立事件に限っては、法律扶助協会という財団法人が、費用を立て替えてくれる制度もあります。
 なお、弁護士費用を工面するために、金融業者から新たに借金をしてはいけません。事情を話した上、親族から貰うなどはいいでしょうが、金融業者は弁護士費用を払うという事情では絶対に貸しませんから、借りる時点であなたは嘘をつかなければいけません。そうなるとこれは詐欺です。
 ちなみに「借りた金は返す」
 これは社会の道理です。生活苦のためにやむを得ず借りたお金が膨らんでいってしまって破産や債務整理を行うことは、それ以上被害を増大させないためにやむをえないことでしょう。しかし、債権者に迷惑をかけるものであることは十分認識すべきです。弁護士に頼めば、簡単に債務整理や破産ができるということはくれぐれも考えないように! 少なくとも私を含め多くの弁護士は、本人の事情をよく聞いた上で、破産や債務整理をすることが妥当であると判断された事案以外は受任しません。



― 書面作成 

弁護士に内容証明を代筆してもらいたい
 突然内容証明郵便が来てびっくりしたので、弁護士に回答してもらいたいという相談は時々あります。
 この場合、ただ今回に限って回答してもらうだけでいいのか、それとも今後の交渉を全部弁護士にやって欲しいのかによって費用が違ってきます。
 ただ単に回答の仕方がわからないので、今回に限り、あなたの名前で代筆してもらいたいという場合は、手数料として一通1万円から3万円程度かかります。このとき、弁護士名を表記するとなると、手数料は高くなって一通3万円から5万円かかります。
 ただこれはあくまでも一回限りの代筆ですから、その後、相手から交渉があっても弁護士は応答しません。あなた自身で交渉してもらうことになります。交渉の際のアドバイスには別途法律相談料もかかります。
 

<東京弁護士会所属>
弁護士 小 川 義 龍
<第一東京弁護士会所属>
弁護士 遠 藤 幸 子

東京都新宿区四谷1-18 綿半野原ビル別館5階
小川綜合法律事務所

office@ogawalaw.com
※現在、メールによる法律相談は受け付けていません。