<徒然なる弁護士日記>
平成12年2月〜3月の日記

平成12年3月31日(水)

 このところ離婚問題、消費者問題などの相談・受任が多い。

 離婚問題は、弁護士業務のイロハのうちだからたまたま多いだけだと思うが、消費者問題は、次々新手の問題が生じている。サラ金・商工ローン問題は、最近でこそ一般化してきたが、マルチ商法や不動産ローン問題など、これまであまり多くの弁護士が取り組んできていなかった問題が湧き起こっていて、この手の相談は、相談者が相談者を呼ぶ状況にある。私としても、全部の問題をできるだけ解決したいと思っているものの、弁護士としては今存在している法制度を利用して解決するしか途はない。
 新手の社会問題については、迅速な立法手当が重要であることを思い知らされている。

平成12年3月29日(水)  松山・八幡浜へ

 父親の郷里であり、私の本籍地でもある愛媛県八幡浜市。四国の西側・愛媛県の南西に、九州大分に向けて細長く伸びる半島があるが、その根もとの辺りに位置する漁港が八幡浜市だ。

 今日は、一日、父と共に帰省して、県議のご案内のもと各所に挨拶回りをした。愛媛県知事、八幡浜市長、マスコミ各社を訪問するなど、慌ただしい一日。何の挨拶回りかは伏せるが、弁護士業務を行っている中で経験したいろいろな社会問題を解決するには、司法だけでは限界があることも事実。弁護士経験を生かしつつ思うところに従って、よりよい市民社会を築き上げるためにはどうしたらよいのか、不断に考えさせられるこのごろである。

平成12年3月24日(金)  少額管財事件

 東京地裁では、全国に先駆けて、昨年末より破産管財事件の一部を、簡易迅速に行えるシステムとして「少額管財制度」として運用している。

 これまでは破産事件は、無資産者の「同時廃止事件」と、何らかの資産があるものの「管財事件」との二種類しかなかった。
 ところが、同時廃止事件は裁判所に納める予納金が数万円で済むのに反して、管財事件では、少なくとも50万円以上の裁判所予納金がかかってしまう。そうすると、生命保険や預貯金などが2〜30万円あるような資産者の破産申立事件では、管財費用を払う余力もなく、かといって同時廃止事件にもならず、申立の段階で足踏みしてしまうことが多かった。このため、申立代理人が事実上破産管財人的な立場で、資産を配当してしまって無資産にしてから同時廃止事件として申し立てる扱いが多かったのだが、これだと正確な配当ができなかったり、申立まで時間がかかるため申立人の給与などの差押がなされてしまったりして、破産者が苦慮させられることがあった。
 そこで、20万円以上の資産がある場合には、この資産を申立予納金として認めて破産管財事件とする運用が始められた。これを「少額管財事件」という。高額の予納金を準備せずに直ちに破産宣告が受けられることや、ともかくも裁判所の監督の下正式な破産管財人が資産調査をして簡易配当を迅速に行うため、債権者債務者双方にとって有益である。

 東京地裁では、同時廃止事件は即日面接・即日決定方式を採用し、少額管財事件をはじめるなど、昨今の破産申立の増加に対応して、より円滑に破産事件を処理できるように柔軟な運用を日々開発している様子であり、流石といえよう。
 なお、これら即日面接・即日決定方式の同時廃止申立や、少額管財申立は、弁護士を代理人として立てた破産申立に限られることは注意が必要である。要するに、申立代理人による申立前の債権債務調査や資産管理など、弁護士としての申立代理人の働きに対する裁判所の信頼も加味された上での制度なのである。

平成12年3月23日(木)  浅草松屋での法律相談

 浅草に松屋というデパートがある。ここの7階の消費者相談コーナーでは、古くから定期的に(週1回程度か)弁護士による法律相談が行われている。

 弁護士会での法律相談と全く同じ形式・料金(30分5000円)なのだが、ここを訪れる相談者は意外と少ない。弁護士は午後1時から4時まで待機しているのだが、いつも1〜2名の相談者が来るか来ないかという状況である。
 霞ヶ関や四谷のセンターは、ひっきりなしに次々依頼者が来るのに、松屋の法律相談は、非常に空いていて、もったいない限りである。待機している弁護士としても、せっかく半日空けているのに、相談室でぼんやりしている時間ばかりで、やはりもったいない。

 今日は、ここの相談担当として赴いたのだが、案の定、相続事件の相談が1件あっただけだった。30分で相談は終わったから、残りの2時間半、雑誌を読んだり、持ち込んだ仕事をしたり、居眠りをしたりして過ごした。いやはや、である。
 十分な広告がなされていないこともあるかもしれないが、東京にはこのような定期的に常設されている相談窓口が他にもあるので(例えば商工会議所の法律相談など)、是非利用してもらいたいものだ。

平成12年3月22日(水)  弁護士のPCギャップ

 私の所属する東京弁護士会の新年度役員が、機関誌「東弁新聞」に掲載されていた。良く知る大先輩などが役員になっておられて、大いなるエールを贈るところである。

 ところで、この自己紹介は、アンケート形式になっていて、その項目の中に「パソコンは使えますか?」という質問があった。
 会長1名、副会長6名、監事2名の回答は、次のようなものであった。
 ・「使えない」「これまで使ったことは皆無」「不器用な私には手に負える相手ではない」
 などと全く使えない派が、4名
 ・「一太郎をどうにか動かせる程度」「ワープロくらいはそこそこできる」
 というワープロかろうじて派が4名
 ・「使える」
 と答えた方が、なんと1名限り。

 東京の弁護士会の役員は、年齢が概ね40代後半から50代という構成だから、世間のお父さんと同じ程度のレベルなのかも知れない。
 しかし、弁護士は、世間のお父さんの多くが勤める会社組織よりも、弁護士個々人が前線に立って(つまりパソコンなどの道具を使って)仕事をする機会が多く、個人商店よりもよほどパソコンに対する親和性が高い業界だ。
 われわれ30代の若手弁護士は、かなりPCに対して親和性を持っているように思うが、役員ほどになる弁護士の世代ともなるとこのような状況であり、弁護士業会内部でも、PCの利用に対するギャップが開きつつあるような印象だ。

 もちろん、PCを使えない弁護士ではいけないというつもりは毛頭なく、役員になるような先生方は、弁護士としての基本的能力において尊敬に値する方々ばかりなのだが、これでPCも使いこなすような努力をされれば、凄いことになるはずなのになぁと思った次第。

 とはいえ、われわれ新進の弁護士の「売り」の一つがPCということもあり、年輩の諸先生方にPCをバリバリ使われてしまっては、こちらの出る幕がないわけで、「東弁新聞」での諸先生方の回答を読んで、「やっぱり」と思うと同時に、ホッと安堵したのも事実(笑)。

平成12年3月17日(金)  巨頭会談?

 ご自身のHPでメールによる有料法律相談を1件1500円で実施され、日経新聞でも話題となった牧野二郎弁護士と最近懇意になった。

 今年10月には、弁護士広告も解禁になりそうな気配濃厚で、今後のネットワーク上でのリーガルサービスのあり方についてどうすべきかという意見交換会を、この牧野弁護士、秋山弁護士、清見弁護士、そして私と、それぞれネットワークでは一家言持っている弁護士らが集まって、今日、弁護士会館で「4巨頭会談」と称して(笑)2時間ほど議論した。

 ウエブを有効利用している弁護士は、極めて乏しいが、今後のリーガルサービスのメディアとしては大変重要だという点では全員の意見が一致し、いろいろなアイディアが出された。
 パソコンそのものがしっかり根付いているとはいえない弁護士業界で、ウエブを有効利用したリーガルサービスが果たしてどこまでできるのか、大変に心許ない思いもあり、われわれ少数の弁護士が孤軍奮闘するしかない状況にある。
 私の無料法律相談にせよ、牧野弁護士の有料相談にせよ、これによる収益は全く期待できないわけで、ボランティアの部分が多くを占める。しかし市民のニーズは高い。弁護士全部が同様のスタンスでウエブを利用すればともかく、現状では、人員的な足かせがどうしてもかかってくるのだ。
 そうはいっても、われわれだけでも何かやっていかなければ、何も改善はされない。とりあえず、メール相談の将来を模索してみようと言うことで、これは牧野弁護士主導のもと、今後、一つのビジョンがうち立てられるかも知れない。その際には、このHPにも影響を与えると思うので、乞うご期待である。

 ところで、風邪だと思っていた私の体調は相変わらずで、花粉症じゃないかという意見が多く、そんな気になってきた今日この頃。

平成12年3月14日(火)  風邪で休養

 今年は風邪をひかないなぁと思っていたら、日曜日あたりから喉が痛かったのが悪化して、喉がガラガラになってしまった。

 寝込んでダウンするほどではなかったのだが、声も余りでないし、体もだるいしということで、今日は、自宅で休養することにした。
 裁判の期日は入っていなくて、来客の予定が何件かあっただけなので、急遽日程を変更してもらって、自宅から一歩も外へ出ずにごろごろと横になっていた。
 でも一日休んでもあんまり休んだ気にならない。
 ここは一発、半年くらいカリブ海に浮かべたヨットの上でのんびり過ごそうかな・・・なんて考えても、弁護士をやっている以上、時間的にも金銭的にも絶対実現しそうにない(笑)。

平成12年3月10日(金)  法律相談センター

 東京には、弁護士会が公設している相談センターがいくつかある。一般の法律相談を承るところが霞ヶ関と八王子に、クレサラ(債務整理・破産)を承るところが四谷と神田に、また法律扶助協会と言って経済的に困窮している人のための法律援助事業の一環として新宿に、それぞれ相談センターがあり、わたしはいずれのセンターでも相談員をつとめている。

 この相談担当は月に1〜2回回ってくる具合だが、今日は、霞ヶ関の弁護士会館での一般相談担当が午前中だった。

 1件30分の相談で、3件の相談を受けたが、不正競争防止法、離婚、債務支払と、よくあるパターンの相談だった。
 相談室は3畳程度の個室が10数部屋あって、病院の待合いのような待機スペースをぐるっと取り囲んでいる。相談者は簡単な相談カードを記入して受付後、この待合いのソファに座って待っている。受付カウンターで名前を呼ばれたら、指定された部屋に行って弁護士と面談するという具合だ。

 この相談センターで受ける相談は、このHPの<掲示板>で相談されるようなものから、会社の倒産や大きな訴訟事件、社会問題に発展しうるものなど、多岐にわたる。ただ、弁護士が受任するまでもなく、一応の回答をすれば安心してお帰りになるといった類の相談も多い。逆に、なぜもっと早く相談に来なかったのかと諭すものもあるが、それでも全くの手遅れというケースは多くない。市民が、専門家に相談に行くことの重要性を少しずつ理解してきたからであろうか。

 法律相談センターに行って待合室で待つ人々の不安げな顔、そして、相談を終えて相談室から出てくる人の安堵した顔、この両方を見るにつけ、われわれの仕事が医者と同じようなものだということを印象づけられる。
 早期発見、早期治療。鉄則である。

平成12年3月8日(水)  「派閥」

 東京弁護士会には、「派閥」というものがある。

 政党の派閥のイメージがあってあまり響きの良い言葉ではないが、通称されている。
 「会派」とも呼ぶ。この弁護士会の派閥とは、弁護士会内の政策集団で、実際に活動するかしないかはともかくとして、過半数以上の弁護士がどこかの派閥に所属している。
 ときおり新聞などでも弁護士会の政策や選挙の報道で、この派閥の意見などが紹介されることがあるから耳にしたことがあるかもしれないが、東京弁護士会には、「法友会」、「親和会」など、会員数1000名を超える大派閥がある。これらの大派閥は、一種の派閥連合のようなもので、その中に、さらに細かく10くらいの派閥(部会)が分かれていて、私は、「法友会」の中の「春秋会」(法友8部)という派閥に属している。

 派閥が何をするかというと、弁護士会に対して政策を提言するための議論が中心だ。もちろん自分たちの是とする政策を提言したいわけだから、弁護士会の会長などの役員人事も焦点となる。
 このため、派閥に興味のない弁護士からは、単なる集票組織と見られやすいが、われわれ弁護士は、政治家と違って、別に弁護士会の役員人事に切実な利害関係をもっているわけではなく(弁護士は弁護士会活動に積極的に関わらなくても、別に仕事上困ることはない)、純粋に、社会正義や社会問題を弁護士会としてよりよく対処させたいがために、政策や人事に興味を持つわけだ(弁護士会の役員などは全部ボランティアだから、弁護士業務の増収には直接繋がらない。)。

 派閥に属しているからといって、上から金が降ってくるわけでも、事件が涌いてくるわけでもない。経済的メリットは何も無い。むしろ時間の無駄という意見を持つ人もいるくらい(こういう人は、派閥に所属しないか、所属していても全く顔を出さない。)。
 しかし、私の目から見ると、この派閥は、建前上は政策集団であるものの、実態は「仲良しグループ」的な緩やかな繋がりを持ったクラブ的・サークル的集まりという感じで、決して殺伐としたものではない。いろいろな派閥があっても、多くはそれほど突出した意見を持って対立しているわけではなく、だいたいが似たり寄ったりの見解を共有しているものだ。派閥間同志の交流もあり、派閥が違うからといって険悪になることも一切ない。

 結局、弁護士会の派閥とは、政策集団であることを建前として、弁護士同士の親睦を深めたり、弁護士業務に関する情報交換や研鑽をしたりするグループといった方が実態にかなっている。だから、業務研究会だとか、旅行総会だとか、ゴルフコンペだとか、ボーリング大会だとか、こういった行事が盛りだくさんで用意されている。もちろん、派閥に属していても、こういった行事に参加するかどうかは、各弁護士の自由だ。興味のある人だけが楽しく騒いでいるというだけの話。
 一般社会で派閥というと、政治でも会社でも、どうしても仕事と切り離せないどろどろしたものを思い浮かべてしまうが、弁護士会の派閥は個人の仕事とは全く無関係だから、純な議論や交流ができて、さながら大学のサークル的な、利害関係のない対等なつきあいのできる場として、私は、好感を持っている。
 ちなみに、弁護士業界には、企業や役所にはありがちな「学閥」というものもないので、本当にリベラルな雰囲気で、自由に集合しているのが弁護士会の派閥だ。

 この派閥を通じて、私はたくさんの友人や先輩・後輩の弁護士と知り合い、有為な情報を得てきた。とかく弁護士は、一匹狼になりやすいので、こういう弁護士同士が常日頃から交流できる場というのは、弁護士としての平衡感覚を養う上で貴重な場だと思われるのだ。

 そして今年私は、私が所属する派閥である法友会の「春秋会」執行部(世話役)を、つとめることになった。
 今日は、その執行部会が今朝、帝国ホテルで皆で朝食をとりながら和気藹々とすすめられた。無償奉仕だから大変な役回りではあるが、今年も多くの弁護士の知人が新たにできることだろう。

平成12年3月7日(火)  相手方代理人が知り合いの弁護士の場合

 東京は弁護士が何千人もいるので、自分の知り合いが相手方の弁護士になるということはそう多くはない。それでも、たまに面識のある弁護士が偶然相手方の代理人になることがある。こういう場合、われわれ弁護士はどうやって話し合いをするのか。地方に行くと、殆どが面識ある弁護士同士ですらある。

 基本的には、面識のない弁護士を相手とする場合と、交渉内容や権利主張の方法は特に変わりがない。面識があるからといって馴れ合いになることはない。
 ただ、面識があれば、訴訟などの法的手続で無用の混乱や空転が起こりにくいことは確かだ。訴訟前であれば、話し合いで終わる可能性も高い。
 依頼者にしてみれば、なにか馴れ合いで事件をシャンシャンと手打ちにしてしまうのではないかという疑念を抱かれる方がいるかもしれないが、そういうことはない。逆に面識があるからこそ、シビアな対決になることすらあるのだ。ただ、代理人同士のお互いの無用な腹のさぐり合いがないから、シビアであっても的を射た要領の良い事件解決に向けての交渉ができ、むしろ依頼者にとってはよいことだと思っている。

 現に、現在進行中の私の手持ち事件のうち2件が、相手方弁護士と知り合いだが、非常にシビアな話し合いを続けている。
 一度、ある刑事事件で、弁護人は私、裁判官と検察官が大学の親しい先輩という、法曹三者全員が知人同士という裁判になったことがあるが、その場合も、法廷では全くなれ合うことなく、順当な結論で終結した。後で、事件について先輩たちと話ができたことがむしろ大いなる収穫となったくらいだ(普通、事件後、話をしたりすることはない。)。
 われわれ法曹は、狭い業界であるだけに、知人とやり合ったり、知人が裁判官だったりということはあることだが、そうであっても偏頗な裁判になることはなく、プライベートとパブリックは違うという意識は普通以上に持っているものだと、一般市民の方には強く説明しておきたい。それがプロフェッショナルというものだ。

 なお、相手方当事者本人が知り合いという場合は、これはそもそも事件を受任しないので、代理人とは別次元の問題だ。

平成12年3月2日(木)  矛盾する仕事

 弁護士は、およそ全ての法律事務を行うことができる。そうすると、自分の業務の中で矛盾した依頼にブチ当たることがどの弁護士にも必ずある。

 例えば、債権回収と債務整理。
 私は、サラ金や不動産ローンの破産や債務整理を債務者の代理人として行っているが、他方で、銀行やサービサー会社(公認の債権回収代行会社)の代理人として不動産ローンの回収を行うこともある(サラ金の債権回収などは決してしないが。)。
 また、建築紛争。
 私は、大手ハウスメーカーの代理人として建築紛争に多く関与してきたが、他方で、個人住宅の瑕疵などについて施工業者の責任を追求したこともある。
 さらに、労使問題。
 私は、会社側の顧問弁護士として、従業員とやりあったことがあるが、他方で、労働者の代理人として会社の不当労働行為を追求したことがある。

 はたまた、離婚問題。
 私は、夫側妻側いずれの代理人もつとめるし、不倫した者、された者、いずれの代理人をつとめたこともある。
 いずれももちろん、同じ当事者間での事件ではないが(これはあたりまえ。関係者の間で双方代理をすることは違法だ。)、よくよく考えてみれば矛盾した仕事だ。一見すれば、何にでも首を突っ込むとそしられるかもしれない。

 しかし、両方の立場を知っていると、それぞれの弱み・強みもよく判っているから、一方だけの立場しか知らないよりも、事件解決に向けて合理的・迅速円満な解決策を導き出しやすいのだ。
 会社側の代理人にしかならないとか、債権回収しかしないとか、そういう弁護士も中にはいると思うが、そうやって一方だけの代理人ばっかりやっていて、果たして事件の機微がわかる弁護士になれるだろうか。
 われわれ弁護士の仕事は、「人と人」の争いごとの解決なのだから、両方の立場を感覚的にわかっていてこそ、はじめて事件解決に向けてお手伝いできると思うのだ。

 もちろん、依頼者の代理人であることに違いないから、依頼者の利益最優先であることは間違いない。
 しかし、その中で、やはり相手の考え方に耳を傾けつつ、ある程度第三者的立場をもって、迅速解決に向けて仕事をしてゆくというのは、弁護士のスタンスとして間違っていないと思っている。弁護士は、代理人ではあるが、依頼者の「使いっ走り」ではない。依頼者に対しても、相手に対して譲るべきところや、早期円満解決のために引くべきところがあれば、これも示唆する役割を担っていると思うのだ。悪しき依頼者であるとわかれば、辞任するくらいの心構えもなくてはならない。

 だから、矛盾する仕事をして経験を積むことは、別におかしいことだとは思っていない。

平成12年2月28日(月)  夜が薫る季節

 午前中、東京地裁の裁判が一件あっただけで、他には来客の予定もなく、電話も余りかかってこない珍しく穏やかな一日。

 夕方ちょっと表に出たら、陽気も穏やかで、そろそろ春の匂いがしてくるのも間近か。私は、芽吹く季節の夜、穏やかな空気が薫ってくる時期がとても好きだ。例年3月中旬から下旬にかけて香り立ってくるのだが。今年はいつごろになるのか。

平成12年2月25日(金)  残業しないデー

 今日は珍しく一日事務所で執務している。それほど電話もファックスも来ない。落ち着いて仕事ができそうなものだが、落ち着きすぎて、HPメンテなどしてしまって、結局、本業の方はあまり進まない。どうも、昔からこういう性格なのか、ばたばた忙しい方が仕事がはかどるようだ。
 とはいえ、山積された雑務を一つずつこなしていっている。

 ところで、今日は、うちの事務所で「残業しないデー」を決めた。
 私の個人的な感覚として、仕事は結果が出ればいいのであって、時間をかければいいというものではないと思っている。だから、だらだら仕事をして残業するくらいだったら、時間を決めて、絶対にそれまでに仕上げるという風にした方が能率が上がる。
 だから、事務職員の皆さんには、弁護士が遅くまで仕事をしていても、自分の仕事が終わったら、どうぞ遠慮なくさっさと帰ってくださいと常日頃から言っているのだが、それでも、結構みな遅くまで仕事をしているので、週一日は、残業しないで定時で帰る日を設けようということになった。
 とはいえ、うちの事務所は、なんだかみんなやけに勤勉で、私が「早く帰ろう、帰ろう」としきりに促しても、仕事をしてくれている。
 上司が残っているから自分も残る、みたいな悪しき連帯意識というか気遣いのようなものが日本の組織にはあるようだが、こういうのは私は嫌いだ。結果さえ出せればいいわけで、だらだら遅くまで仕事をしているくらいなら、時間を決めてそれまでにダーッと仕上げてしまった方がよほど能率も上がるしいい結果が出ると思っている。
 だからといって、上司が辺りを気にせず黙々と遅くまで仕事をしていれば、先に帰りづらいということも私はよく知っている。だから、自分が遅くまで仕事をしていても、事務職員の皆さんには、定期的に「もう帰ったら」と声をかけることにしているのだ。

平成12年2月22日(火) iBookにWindows2000を入れていたら夜が明けた

 この文章を書いている時間は、深夜3時半。

 私にしてみれば今日は21日なのだが、正確な時間でいえば、22日。要するに、そのまま事務所に残って仕事をしているわけ。
 といっても、急ぎの仕事が大量にあるわけではなく、例によってPCの設定など何となくしているうちに夜が明けそうな感じだ。

 昨日、iBookに新発売の「AirMac」(無線LAN)を繋いだら、それはそれは面白くて、iBookの本領発揮という具合。ケーブルレスで、狭い事務所中どこへ持ち歩いてもサーバーやルータとつながっている。サーバーのファイルにアクセスできるわ、プリントアウトできるわ、メールは送れるわ、ウエブは閲覧できるわ、極めて軽快。
 ただ、他のPCがNTサーバーにログインするときに、どうやらAirMacとバッティングするようで、ログオンの不具合が発見されたのが、昨日の10時ころ。これを解決するべく、あれやこれやいじっているうちに12時を回ってしまって、どうせ自宅は徒歩で数分の距離だし、例によって事務所で酒でも飲みがてら仕事しがてら、久々にPCメンテでもしてみるかと思い立った。

 そして、ネットワークログオンの不具合は未解決ながら、思い立ってiBookにWindows2000をインストールしてみることにした。
 もちろん、iBookはマッキントッシュだから、そのままインストールできるわけではない。私のiBookには、「Virtual PC 3.0」というマックの世界では定番のDOS/Vエミュレータソフトが入っている。これに今までWindows98SEを入れていたのだが、大変に良くできたエミュレータであるため、もしやWindows2000も動くのではないかと思い立ったのだ。
 このエミュレータソフト、設定もインストールも至極簡単。DOSの知識も不要。さすがマックのソフトと言った仕様だ。しかも、素人目にはほぼ完璧なDOS/Vマシンがマックの中にできあがっている風情で、速度もそこそこ(iBookだと、MMX Pentium 200Mhzくらいの体感速度かな)。
 1時ころからインストールし始めて、ようやく先ほどインストールし終わったところ。
 Virtual PCが優れているのか、Windows2000が優れているのかわからないが、インストールに際してのトラブルは皆無。エミュレータによるインストールのため、時間はかかったが、放っておいただけで、自動的にWindows98から2000への移行完了。
 しかし、Windows2000というのは、インストールでのトラブルもないし、つくづく快適なOSですな。

 さて、これからiBookでのWindows2000の使用感を詳しく確かめてみることにするが、安定しているのは純正DOS/V機上での動作と同じ。さらに98よりも心なしか速くなった感じもする。使えそうであれば、iBookのHDを10Gくらいに換装して、正式に導入することにしようかと思っている。

 今朝は8時起きだというのに・・・(ちなみに私は夜遅くまで仕事をする派なので、起床時間は遅くて、10時近くまで寝ている。事務職員は9時過ぎには事務所に来て仕事をしているのだが。)

平成12年2月21日(月)  あっと言う間に一日が暮れ

 年をとってきただけかも知れないが、こと弁護士になって以来、一日が過ぎるのが非常に早い。

 今日も午前中、国選弁護事件を一件受任し(簡易裁判所の窃盗被告事件)、来客を待たせながら銀行だの不動産業者だのと複数件の不動産任意売却交渉を電話やファックスでまとめ、新件の法律相談を受任して内容証明郵便を書き、これからまた離婚相談がある。
 あっと言う間に日が暮れた。

平成12年2月20日(日)  Windows2000 順調

 β版(RC2)で2ヶ月ほど使用してきたWindows2000だったが、先週、正式発売と同時に導入した。

 予めβ版がインストールされていたPCに上書きしたのだが、短時間かつノープロブレムであっと言う間に正式版に移行完了。
 β版も安定していたが、正式版もβ版と全く変わりなく、さすがNTだけある。今後、事務所のOSは逐次これに変えてゆく予定。NT Serverの方もバージョンアップ版を購入しなければ。

 95や98と違って、もとがNTという完成された堅固なOSだけあって、少なくとも仕事に使う分にはすぐに乗り換えても全く問題ないという印象。
 ソフトやドライバとの相性問題はあるが、これまで2ヶ月検証してきて、とりあえず私が使っていたり、このHPで推奨しているソフト類はほぼ全て完全動作する。バージョンアップを要するソフトもあるが、これらもメーカーのホームページにアップデートモジュールがダウンロードできるようになっていて、これらをインストールすれば問題なし。

 これで不如意なOSのフリーズやら不安定な動作に悩まされずに、仕事もはかどると言うもの。めでたしめでたし。

平成12年2月17日(木)  法律相談箱<掲示板>の前に

 このところ法律相談箱<掲示板>が盛況なのだが、同じような相談が目に付くようになってきたので、「よくある質問集」の頁を新設した。

 自分の身に降りかかる問題を、一刻も早く相談したいという気持ちはよくわかるし、個別の事情があるから定型的な回答だけでは満足できないと思うが、はやる気持ちはとりあえず押さえて、まず「よくある質問集」に目を通してもらいたい。
 そうでないと、暇を見つけて相談に回答している私の方が、いずれパンクして医者に「相談」しに行かなければならない・・・っていうのは冗談(笑)。

 まだまだ答える私としては、大した負担にはなっていないのだけれど、キャパが残っている今のうちにと思って、このようなFAQ頁を設けてみた次第。
 遠慮なくご相談あれ。

平成12年2月16日(水)  東京地検

 高校時代からずっと一緒のクラスで友人としてつきあってきたヤツが、今、東京地検で検察官をやっている。お互いの古い悪事(?)の数々を知り合っている仲だ。

 昨日、東京地検に行ったついでに、そいつの所にふらっと立ち寄った(ちなみに今私が扱っている刑事事件とは全く無関係なので念のため)。
 東京地検は、8年前、司法修習生としての身分で私も闊歩していた場所だ。しかし既に全くの部外者だから、弁護士と言えども入口をフリーパスというわけにはいかない。受付で、行き先と用向きなどを申告して許可証をもらって中に入る。比較的新しい庁舎だが、中はグレー一色の内装で、およそ明るい雰囲気ではない。機能的ではあるが、被疑者として引っ立てられたら、やっぱり威迫的な印象を覚えるんだろうなと改めて得心する。
 ちなみに、刑事部の廊下は、二重廊下になっていて、検事室は厳重に外部から遮断されているような感じ(私の友人は刑事部とは別の部にいるのだが)。特捜部ときたら、マスコミの記者が張っていたりして、ものものしさも。一方、東京地検の上階には、東京高検や最高検があるのだが、最高検の検事室は、うってかわって企業の重役室並。廊下には絨毯が敷いてあるし、ドアは木製。各検事毎の個室で、金属製のネームプレートがかかっている。パターセットもおいてあったりして、広々してほとんど社長室(とはいえ大企業と比べれば全く質素だとは思うが)。ちょっと憧れた覚えがある。これらは修習生時代に見聞きしたもの。
 検事室にいる彼は、なるほど検事らしい雰囲気になっている。おそらく私も弁護士らしい雰囲気になっているんだろうが、やはりそれぞれの分野に進むと「らしく」なるもんだなぁと思った。
 お互い多忙を極める身だから、ほんの挨拶程度、雑談をかわしただけですぐ退散したが、同じ法曹界に旧友がいるというのは面白いものだ。

 ちなみに、裁判官や検察官が外で自分の勤める役所のことをなんと呼ぶか知っていますか? まさか外の飲み屋で「裁判所で」とか「検察庁が」とか言って話をしていたら、隣の客の耳がダンボになっちゃうからね。
 正解は「我が社」。う〜ん、陳腐というか、詐称というか(笑)。しかし、会社員だったらむしろ「我が社」なんて堅い言葉じゃなくて「うちの会社」とか「うち」とか言うんじゃないかなぁ。かえって目立ったりして。でも、私も司法修習生時代は、面白がってそうやって呼び合っていましたけど(ちなみに司法修習生は、襟元に付けるバッヂが三つ葉のクローバーのような形をしているので(本当はJulistのJの筆記体をかたどったもの)、「三つ葉商事」なんて言っている輩もいますけど)。
 「我が社」と呼び合っている集団があったら、裁判官か検察官かも知れませんよ。

平成12年2月15日(火)  前科者

 「今私が、思っていること」のページでもだいぶ息巻いている私であるが、昨晩、刑事事件の依頼があって、今朝、警察署に接見に行ってきた。

 罪名は建造物侵入。しかし、これは別件逮捕で、実際の目的は窃盗の共犯(見張り役?)という嫌疑。本人は、アリバイや無実となる証拠もそれなりに揃っているよう。でも、警察は、本人に同種前科があるということで、「お前が関わっているんだろう!」の一点張りらしい。本人は、もう10年も真面目な仕事を続けているにもかかわらずである。
 この件は、冤罪事件に近いので、私としても早期身柄釈放に向けて頑張ってみるつもりだが、しかし、「前科者」はあらぬ疑いをかけられるというのがこの世界であることを、また一つ実感した。覚醒剤などの薬物事犯など、こういう身に覚えのない嫌疑をかけられて拘束されたり質問を受けたりというのは頻繁。そうやって警察も苦労して健全な社会維持に向けて頑張っているというのはわかるが、「真面目な前科者」にとってみれば、あらぬ嫌疑を掛けられるのは大変にかわいそうなことでもある。

 実は、私は司法試験に合格するまで、検察官(検事)になろうと決意していて、刑事事件には未だに興味を失っていない。専門学校で刑事訴訟法を教えているし、刑事政策研究会という法務省の学会的組織にも所属している。
 この刑事政策の通説的な考え方は、犯罪者は、遺伝とか素質によって作り上げられるのではなくて、「社会環境」によって作り上げられるというもの。その社会環境の最たるものが「レッテル」だという。つまり、「あいつは前科者なんだってさ」と社会の厳しい目に晒されることで、身の置き所がなくなり、再び犯罪に走ってしまうという自暴自棄の観念が挙げられている。前科者だからと言って、正業に就けなくなって、再犯に陥る悪循環。

 前科者と他人を笑うあなた。もしかしてスピード違反で罰金を払ったことはありませんか、簡易裁判所で。この罰金も立派な「前科」なんですよ。あなたも前科者だ。果たしてこう言われて気分がいいですか?
 前科の有無で人を判断しないこと。大いに反省しましょう。

平成12年2月10日(木)  失礼なサラ金

 昨日、弁護士会クレサラ相談センターで相談を受けて債務整理を依頼された相談者が相次いで2人事務所に来て、正式受任した。

 その内の一人が、今日支払日のサラ金があるということで、取り急ぎファックスで受任通知書を送ろうと思い、某サラ金会社に電話したら、「なんでファックス番号を教えなければいけないんだ」云々と失礼な物言い。私もカッとなって久々にサラ金と電話で怒鳴り合いの応酬。
 うちの事務所の方針として、常識に照らして譲るべき所は譲っても、道理に合わないことは断固として対応するというもの。事務職員たちにも、サラ金に限らず相手方には、不条理な物言いに対しては、どんどん突っ張っていいと指導している。債務整理の方針も、サラ金会社からしてみれば最も忌々しいであろう東京弁護士会「三会統一基準」(利息制限法引き直し、金利免除の分割和解)という最も厳しい和解基準を徹底させている。三会統一基準で和解できないのであれば、裁判所で白黒決着をつけてもらうというスタンス。
 このため、以前は、これに抵抗する会社も多かったが、最近は、うちの事務所には何を言ってもこの基準を崩せないと言うことが周知されてきたのか、あまり喧嘩することも多くなくなってきた。

 弁護士の受任通知書の意味は、これが債権者に届くと、債権者は一切債務者本人と直接話をしたり連絡することが禁止される(金融監督庁ガイドラインによる)。このため、受任通知をサラ金会社に送付することは、債務整理開始にあたっての第一歩。当然、サラ金会社にこれを拒否する権利は一切ない。それをファックス番号を教えないと言う暴挙に出る会社は、ロクでもない。というわけで、ブチ切れたという次第。
 債務整理にしろ破産にしろ、債務者は債権者に迷惑をかけることは事実。借りた金を返すのは常識以前の道理だ。だから、私も安易に受任することはしないし、依頼者に対しては、十分説諭することにしている。
 しかし、債権者側としても、弁護士が介入相当と判断して受任した案件に対して、弁護士に対する個人攻撃的な発言をしたり、こちら側の正当な権利を妨害するような挙にでることは断じて許されない。このような不条理に対しては、私は徹底的に争うことにしている。一切譲歩はしない。

 最近、サラ金会社も、資金力にものをいわせてコマーシャルなどの宣伝でイメージアップを図っているが、回収担当社員がヤクザまがいの、このていたらくでは、所詮「金貸し」のイメージは絶対に払拭できまい。
 商工ローンはもう一枚下品だが、サラ金も、同じようなもの。決して宣伝イメージに騙されないように。サラ金の類からはお金を借りないこと。これは鉄則。

平成12年2月9日(水)  不自由なお気楽商売

 昨日、今日と、このHPを掲載しているプロバイダの不具合でアクセス障害が頻繁に起こっている模様。

 ところで、昨晩の東京は、雷を伴った吹雪が一瞬あった。今日は今日で、めっぽう風が強くて、こういう日に限って、遠方の裁判所などの外出が重なっていて参った。
 川崎の裁判所で、商工ローン相手の裁判を終えて、事務所に戻ってきても、まだ寒さのために耳がじんじんしている。

 しかし、裁判官は、暖かい裁判所の中で裁判官室と法廷を往復するだけで一日が終わるが、われわれ弁護士は、殆ど営業マンさながら。暑い夏も寒い冬も、スーツと重い鞄で身を固めて、自分の足で裁判所やら現場やら打ち合わせやらに出かけなければならない。デスクワークをしているのが弁護士ではない。
 たまに外出の予定がなくて事務所にいても、夕方くらいまでは、相次いで電話やらファックスの応対に追われて、腰を据えた仕事などできるもんじゃない。日中外出していても、帰ってくると、連絡事項が山積していて、その処理だけで優に1時間もかかってしまう。だから、電話など落ち着く夜半になってようやく書面を作成したりまとまった仕事ができる。私の所は土曜日は原則出勤だが、場合によっては日曜休日も仕事をせざるをえないこともある。

 自由業に憧れて弁護士になったものの、これほど不自由な仕事もない。世間で言われるほど儲かるわけでもない(破産だの債務整理だの、このご時世、そんなに景気のいい事件はありませんからね。)。
 でも、上司もおらず誰に気兼ねすることもなく、はたまた外出するのも気分転換にそれなりに楽しいことも多く、遠方の裁判所に行ったら行ったで帰り際には観光名所を回ってくることも勝手だし、そういう意味ではお気楽ではある。

 不自由なお気楽商売が弁護士か(笑)。

平成12年2月5日(土)  「弁護士会の法律相談担当」

 霞ヶ関の弁護士会館で、一般法律相談の担当日。

 午前中、3件の相談あり。1件30分(法律相談料は5000円。これは私の懐にはいるわけではなくて、弁護士会の収入となる)。
 離婚、交通行政、売掛金回収と典型的な法律相談が続く。
 交通行政に関する相談は、私のHP「今私が、思っていること」で書いたのと同じような疑問をお持ちの方が、交通取締について相談にお越しになった。ただ、現状では、司法の場での解決にはなかなか馴染まず、立法や行政での運用に委ねざるをえないとしか回答できなかったのが歯がゆいところ。
 司法というのは、個別の事件に際して法律を解釈適用してこれを裁定する場だから、一般的な行政や立法に対するクレームを申し立てることは出来ない。司法に携わっていると、「こんな法律があれば・・・」とか「法律の枠内でこういう運用を行政がしてくれれば・・・」と思われることが沢山出てくる。
 法律家が政治家になったり政治に興味を持ったりするのは、いわば必然か。

平成12年2月4日(金)  「定期借家権」

 今日はある住宅メーカーの依頼で、越谷で開かれる不動産セミナー(新定期借家権の解説)講師として赴いた。

 昨年末に改正立法され、今年3月1日より施行される借地借家法では、期限が来ると正当理由も立ち退き料もなしに当然に終了(更新不可)となる「定期借家権」なる制度が新設された。期限内は、中途解約権もないし、賃料増額特約も有効というもの。これによって、貸し主がわからすれば、利回り計算がしやすく、投資用賃貸物件を持ちやすくなる。借り主がわからしても、賃貸物件市場の活性化が見込まれ、不透明な権利金・礼金が排除される可能性があり、居住審査基準の引き下げによって高齢者や無保証による借家が可能となる余地が生ずる。かなり今後普及しそうな予感のする制度だ。

平成12年2月3日(木)  日弁連会長選挙前夜

 明日は日弁連会長選挙。

 単位弁護士会は年に1回、日弁連は2年に1回、この時期に選挙がある。
 弁護士会の選挙では、会長、副会長、常議員(代議員)などを選挙する。私も、弁護士成り立ての2年目に、東京弁護士会の常議員として推薦を得て立候補し、当選した。
 弁護士会にも、派閥と言って、一種の政党のような団体が形成されている。しかし、政党のような物々しいものではなく、実体は仲良しサークルのようなものなのだが、それでも政策を掲げて、派閥内で熱心に議論し、これを弁護士会の政策、ひいては司法や社会に対して影響を与えてゆこうという抱負を持っている。
 あす投票する候補者は、私の所属する派閥の推薦を受けた人物。投票率は毎年90パーセントを超える。当選の暁には、よき司法・弁護士界を目指して頑張っていただきたいものだ。

平成12年2月1日(火)  任意整理立法への期待

 定例の財団法人クレジットカウンセリング協会の仕事を午前中終えて事務所に戻る。最近のクレサラ相談の傾向は、どうも任意整理(支払継続方向での和解)よりも、破産申立を勧めざるを得ない案件が多い。
 クレジットカウンセリング協会では、3年以内に完済見込みのある任意整理事案しか受け付けないので、破産案件は全て弁護士会の法律相談センターに回付する扱いになっている。このところ、破産申立相当案件の相談ばかりで、新規受任は殆どない。このため、今日も閑な執務だった。
 しかし、こういう世間の傾向はいつまで続くのだろう。破産か支払うかというオールオアナッシングの法制度が現状だが、「借りた金は返す」という道義からすれば、任意整理を法的に担保するような立法は出来ないものか。
 和議法を改正した新立法「民事更正法」に期待したいところだが、これも事業者をターゲットにしているため、消費者債務整理には利用が困難そう。「特定調停法」も、調停手続であるため、結局債権者が「ノー」といえばそれまで。

 「破産法」のような強力で、「和議法」や「民事更正法」よりも汎用かつ簡便な債務整理立法を大いに期待しているところである。


 

<東京弁護士会所属>
弁護士 小 川 義 龍
<第一東京弁護士会所属>
弁護士 遠 藤 幸 子

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