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借金相談で驚いた


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 法テラスという公的機関で定期的に法律相談を担当している。

 かつては法律扶助協会という機関だったが、これが発展的に解消して日本司法支援センター(通称法テラス)となった。

 基本的には法律扶助協会の流れを汲んでいるため、簡単に言えば、収入の乏しい人に対するリーガルサービスを提供する公的機関と考えればよい。法律問題で悩んでいれば、各地の法テラス事務所に行けば法律相談を受けられる。弁護士や司法書士を依頼するのに適当な事案であれば依頼もできる。そのための弁護士費用などが収入不足のため用意できなければ、援助を受けることもできる。
 法テラスの制度のあり方については実は賛否両論あるのだが、少なくとも万人に対する法的援助の機会を与えるという精神は大いに賛成できる。

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 この法テラスへ来る相談者は収入が乏しい人が多いだけに、自ずと借金相談が多くなる。

 今日の相談も、借金相談だった。我々の業界ではこれを俗に「クレサラ相談」という。クレジット・サラ金相談である(クレジット=信販会社・サラ金=消費者金融)。

 その最初の相談者は、大手サラ金6社から都合300万円くらいの借金があって、現在無職であるため支払ができないというものだった。実にありがちな借金相談だ。この人は、この借金をしたのが10年くらい前で、現在に至るまでずっと取引を続けている。借り入れもしているけれども、律義に金利をしっかり払い続けているわけだ。

 こういう状況下だと、たいがいが過払いといって、借金は無くなっているばかりか、払い過ぎになっていて業者からお釣りを返してもらえるケースが多い(=過払い事案)。
 なぜこんなカラクリになるかというと、借金の金利上限は、利息制限法によって年間15〜20%までに規制されているところ、クレサラ業者はそれ以上の金利を取っているからだ。
 このため、利息制限法を超えて支払った「利息部分」は、過去に遡って全て「元金」の返済にあてたものと仮定した引き直し計算をすることができる。そうすると、高い金利を長い期間支払っていれば支払っているほど、元金は減ってゆき、しまいにはゼロになる。しかし業者の帳簿上はゼロになっていないから(例えば約定の金利だけ支払っていれば、帳簿上の元金は全く減らないままである。)、本人としては法律上ゼロになっているとは気付かないまま返済を続けてしまう。
 これが業者からお釣りを返してもらえるカラクリの種明かしだ。別に弁護士が凄いテクニックを使うわけではない。実に簡単な話しである。

 この相談者のケースも、10年も真面目に返済をしていたのであれば過払いか、少なくとも大幅に元金が減ることはおそらく間違いないので、まずはこの方針で処理してみましょうとコメントした。いわゆる任意整理の方針をアドバイスしたわけだ。

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 ところがこの任意整理の説明をしたところ、この相談者、驚いた表情をしている。
 そして、おそるおそるこう言うのだ。「先生、自分は破産しなくても大丈夫なんでしょうか?」と。

 もとより破産も別に回避すべき制度ではなく、借金が多くて支払えないなら遠慮なく使えばいいのだが、任意整理で借金が大きく減るばかりかお釣りが戻ってくる可能性もある依頼者が、最初から破産を考える必要はない。その旨を説明すると、その相談者はホッとしている。いかに破産は遠慮なく使っていい制度だといっても、しないにこしたことはない。
 ホッとするのももっともなわけだが、どうしてホッとするのか興味が湧いた。そこで、どうしてか尋ねてみた。

 すると、「実は、新聞にチラシ広告が折り込まれていた法律事務所に電話したところ、破産だといわれたので・・・」とのことであった。借金処理をうたい文句にしている法律事務所へ、ワラをもすがる思いで電話してみたところ、大して事情も聴かれずにその状況なら破産だが、無職であれば弁護士費用が用意できないだろうからウチでは処理できない、法テラスへ行けといわれたんだそうである。たぶん電話担当者は弁護士ではない。

 もちろん弁護士はボランティアではないから、当然費用は用意してもらわないといけないのが原則だ。
 しかしこの相談者の場合は、ちょっと事情聴取すれば破産しなくてもいい可能性が大きい事案であり、場合によっては過払い金を取り戻してそれで弁護士費用を補ってあまりあるかもしれないケースだ。こういう事案を電話で門前払いというのはいかがなものか。
 法テラスは収入の乏しい人の姨捨山ではなく、こと借金問題については、相談を受けた弁護士が法テラスへ自分で持ち込んで受任してもいいケースだって多い。

 門前払いしたこの法律事務所がどこであるかは聴取しなかったが、えてして借金問題専門で広告を出している事務所の多くが、こういう対応をすることが多い。法テラスや弁護士会の法律相談センターで相談担当をしていると、少なからぬ相談者が、広告に釣られて○○法律事務所に行ったら門前払いされたので来ましたと言う。金がなさそうだと見ればその場で門前払い。ヤミ金など面倒な処理案件も門前払い。あとは法テラスや弁護士会の法律相談センターへ行けという。
 借金問題で法テラスや弁護士会の法律相談センターを勧めること自体の結論は正しいが、その前に、目先の金がなくても「弁護士が」「司法書士が」相談くらいは受けて正しいアドバイスをすべきだ。目先の金がなくても分割払いや法テラス持ち込みでの受任を検討してあげるべきだ。ヤミ金処理は犯罪者撲滅と一緒だから面倒くさがらずに、弁護士や司法書士が一丸となって洩れなく受任すべきだ。

 借金問題については、信頼のおける弁護士や司法書士が見当らない限りは、<最初から>法テラスなり弁護士会の法律相談センターなりに行くのが正解である。大きな広告に惑わされてはならない。