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ギネス 〜 やっぱり黒ビールは舶来品


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 黒ビールと言えばギネスである。

 国産黒ビールは足下にも及ばない。先日、エビスのビール博物館に行ったら、ヨーロッパの黒ビールと国産の黒ビールが違うのは、水質のせいだとかなんとか蘊蓄されていた。ヨーロッパの水はカルシウムの多い硬水、日本の水は軟水、黒ビールは硬水で造ってこそなんだそうである。

 不思議なもんで、ギネスはギネスなんだ。キリンビールとアサヒビールの区別は殆どつかないわけだが、ギネスとそれ以外の黒ビールの区別は大概つく。あの泡立ち、色、コク、全てにおいて黒い。トロッとしている。気が抜けている。ぬるい。苦い。そのつるつるでこてこてな感じが、黒ビールとして完成されている。
 国産の黒ビールは総じて、単なる焦げたビールだ。色も泡も、どれもこれも中途半端。黒ビールを名乗るなと言いたい。というか、あれって黒ビールじゃないんですよね?

 子供のころ、中野南口の駅前に焼き鳥屋があった。
 豚カツ屋のトンキの並びあたりだっただろうか。もう40年くらい前の記憶だから断片的な覚えしかない。その焼き鳥屋に、ときどきオヤジと一緒に行っていた。オヤジは下戸なんだけれども、たいがいビールを1本注文していた。それが、ギネスではなかったんだが、国産の黒い色のビールを注文することがあって、子供心に不思議だった。ビールっていうのは琥珀色で白いアワアワのはずなのに、なんかどす黒くて茶色いアワアワで、めっぽうマズそうだなあという記憶だ。オヤジ自身も、あんまり慣れていない風情で、「これは黒ビールっていうんだ、貴重なんだ」という感じで私に蘊蓄を垂れていたような気がする。

 そんな幼児体験があったからか、黒ビールには特別な想いがある。

 こんな風景が想いとしてだけ残っている。
 昭和40年代の国鉄の駅前風景、汚くて煙たい焼き鳥屋、でも幸せそうな土曜仕事帰りのオジサン達の笑顔、神棚風に天井あたりに飾ってある白黒テレビに映し出されたゲバゲバ90分(スーパージェッターかもしれないのだが、焼き鳥屋で流れていたはずもなし)、一夜漬けのやけに塩っぱいキャベツ、ネギマのネギ抜き、ヱビスビールのやぼったいビールグラス、リボンシトロン、そして、黒ビール。

 だから、黒ビールを飲むと、子供に還ってしまう一瞬がある。

 あ、もしかしたら黒ビールはギネスだなんて言っているのは、ハンバーガーならフレッシュネスバーガー、みたいな話しと一緒に違いない。フレッシュネスバーガーだって大好きだけれども、麻布十番のホームワークスとかもっと美味い。
 美味い黒ビールはなんだ!?