もともと私は技術が好きな人間で、簡単に言えばオタクの素質をふんだんに備えている。
小学校時代にはBCLに始まってアマチュア無線をやっていたし、中学時代はTK-80を始めとするマイコンを自作し、高校時代にはそのマイコンのプログラムを雑誌に投稿して駄賃を稼いでいた。だから、高校時代には理工学部に進学しようかと思っていたこともあったわけだが、やっぱり法学部に進んだ。
実際、当時の私の技術好きは下手の横好きというやつで、もともと算数は全くキライだし数IIIは面白いけれども何の役に立つんだろうと思ったし、ハンダ付けはできるが回路設計はサッパリだし、ベーシックや多少のアセンブラでのプログラミングはできるがフォートランやコボルはさっぱりだった。今となってはフォートランだのコボルだの死語だが、高校の選択科目で選んだ電算機数学の授業はちっとも面白くなかった。
一方で、別に好きではないが日本語だとか歴史とか社会科学は得意だったし、理論的表現だとか思索だとかは自然にできた。結局、下手の横好きで進路を決めるよりも、好き嫌いは別として得意なこと・できることを深めていった方がいいだろうということで、理工学部ではなく法学部に進んだ。
だから、本当は技術者になりたかったかもしれない私が、なんとなく進んだのが法律の世界だったわけだ。進学に際して、青雲の志と正義感に燃えまくっていたわけではなかったのが正直なところだ。
その後も今に至るまで、相変わらず技術オタク的嗜好は続いており、仕事の上でもその嗜好が反映されている。
例えば顧問先として、ビジネスソフトウェア会社やゲーム制作会社など著名な会社と複数お付き合いさせていただいている。どの会社の製品も実際に自分が使ったり興味があったりするものが多いから、製品に関する前提知識は十分保有しているし、技術者とも普通に会話ができる。技術音痴が多い法曹界にあって、こういう弁護士は都合がいいらしい。前提の説明不要で単刀直入に本論に入れるわけだから。
「今般こんな新製品(新企画)がありまして、それに関するスキームのリーガルチェックを・・・」と相談されると、実はワクワクしていたりする。もちろんインサイダー情報になるから抽象的にも口外できないわけだが、数ある一般ユーザーの中でも俺だけが知っている状態である。
こんな具合で趣味と実益が兼ねられている部分もあるわけだが、だからといって仕事が趣味になっているわけではなく、趣味を仕事にしているわけでもない。
仕事の大部分は、弁護士としての客観的正義感、それから人としての素朴な正義感、そして喜びとか怒りとか悲しみとか赦しとか、こういったプリミティブな感覚に突き動かされながら一生懸命やっているというのが正直なところだ。趣味という言葉で現されるイメージとは違う感覚である。
とはいえ、新作ゲーム絡みの相談が顧問会社から来たりすると思わずニンマリである。ときどき「先生、なにニヤニヤしてるんですか。」と言われることがあるとかないとか(笑)。



