― 法律事務所の仕組み 

法律事務所とは?

 法律事務所とは、弁護士が開設するオフィスのことをいいます。弁護士資格の無いものが法律事務所の名称を使ってオフィスを開くことはできません。
 法律事務所は今のところ法人ではなく、個人営業扱いですので、会社組織ではありません(近い将来法人化される見込みです)。また、弁護士は一つの法律事務所しか開設できませんので、複数の事務所にまたがって一人の弁護士が所属することはできません。

当事務所事務局の普段の様子。
狭い机に雑然と散らかってしまった書類の山に埋もれて
PCに向かうスタッフ。100件を越える事件を
同時進行で進めてゆかなくてはならないので、
綺麗にしておきたくても自ずと散らかってしまう(笑)。


法律事務所の所在する場所
 地方では、裁判所の近くに所在することも多いようですが、東京(23区内)では、裁判所は霞ヶ関の官庁街にあるので、法律事務所は裁判所の近くには殆どありません。
 だいたい、大きな街並みにオフィスを構えていることが多いようです。東京ですと、銀座、虎ノ門、新橋、四谷、新宿、神田など、営団地下鉄丸の内線沿線あたりに集中している印象です。これは、霞ヶ関の裁判所にアクセスしやすいなど交通の至便性を考えたものだと思います。

オフィスの規模
 法律事務所は、地方はもとより、東京などの大都市部でも、弁護士1〜2名に事務職員数名という小規模事務所が多数を占めます。アメリカ映画などで見るような弁護士数百名規模のいわゆるローファームは、日本では未だ存在しません。
 日本で最大規模の法律事務所は、東京に幾つかありますが、その多くはいわゆる渉外事務所といわれる国際企業法務をメインとして取り扱う事務所で、弁護士50名以上、スタッフ100名以上という規模です。
 最近都市部を中心に増えているのが「共同事務所」という形態で、弁護士が複数名所属している事務所です。共同事務所では、経営者弁護士(パートナー)と勤務弁護士(アソシエイト、通称「いそ弁」)によって構成されていることが多く、経営者弁護士は収入や経費を分担しますが、勤務弁護士は給料をもらって勤務する形態をとります。
 東京の小規模事務所の例として、興味のある方は私の事務所内を紹介した<事務所見学>のページをご覧下さい。

「いそ弁」って?
 「いそ弁」とは、「いそうろう弁護士」の略で、蔑称的な響きもあるので最近は勤務弁護士といわれます。ただ、私は、ほのぼのとした語感があるし、むしろ「いそうろう」と称する方が独立性が感じられるので「いそ弁」という言葉は好きです。
 大抵の弁護士が、司法修習を終えて弁護士になって数年間は、この「いそ弁」を経験します。
 というのも、弁護士は職人と同じなので、司法修習を終えてすぐに使い物になるかというと必ずしもそうではなく、ある程度の期間、既存の法律事務所に「いそうろう」して弁護士実務を学ぶことが適当だからです。
 かつては職人さんとおなじく、技術を教えてもらう徒弟的な立場だったので、給料をもらえるわけではなく、先輩を見よう見まねで技術を学び、事務所の器だけタダで貸してもらって、あとは自分で稼ぐという時代があったとのことで、まさに「いそうろう弁護士」だったようです。いまは、それなりに給料がもらえるわけですから、いそうろうというよりも「勤務」しているのに近いわけですが、なお「いそ弁」という言葉は根強く残っています。
 ちなみに、いそ弁に対して、経営者弁護士のことを通称「ボス弁」といい、先輩のいそ弁のことを「兄弁」と言ったりします。
 いそ弁の期間は、東京などでは3〜5年程度が多いのではないかと思いますが、その後、同じ事務所の中で経営者弁護士に昇格したり、私のように独立して自分で事務所を開くことになります。
 いそ弁の給料は、東京の初任給で、高いところでは1000万円超、平均的には6〜700万円程度かそれ以下ではないでしょうか。年俸制で決めることが多いように思われるので、残業手当などは付きません。そもそも給料名目でもらってはいますが、弁護士は法律上の労働者ではないので、いそ弁でも事業所得者として確定申告しているケースが多いです。
 また、いそ弁が事務所に所属して勤務しているといっても、基本的立場は、個々の独立した個人事業主ですから、事務所から与えられる事件以外に、自分自身で依頼者を開拓して収入を得ることは禁止されません。ここが兼業禁止の会社員などと違うところです。
 ですから、いそ弁時代に、事務所の事件だけでなく、自分自身の個人事件も受任して、新規顧客を開拓してゆき、何年かしたら独立するということができるわけです。

事務職員(スタッフ)って?
 
 東京では比較的平均的だと考えているので、私の事務所のタイムスケジュールを紹介しますと、一日の始業時間は午前9時半から、終業時間は午後8時ころ(但し弁護士は11時ころまで執務していることもある)です。事務職員は、早番と遅番を決めて、始業時間からいる人は早く帰り、終業時間までいる人は遅く来るといった配慮をしていると思います。
 週休として土日休みですが、緊急の依頼ややり残しの仕事があると、少なくとも弁護士は土曜日も仕事をすることが多くなります。
 年間・月間のタイムスケジュールは、一般企業とほぼ同じです。ただ、月末が忙しいとか決算期が忙しいといった繁忙期は特にありませんので、年間、平坦な忙しさです。
 その他、事務所によっては、毎年事務所旅行を開催して、家族などと共に海外旅行に4泊6日程度で行くこともあります。また、弁護士の気まぐれで、一日の業務が早く終わったときなど、全員を誘って事務所の近くで食事をしたり飲んだりすることもあります。こういうとき、会社ではせいぜい上司が多く負担する程度の割り勘だったりしますが、小規模な法律事務所では、原則として弁護士がスタッフ全員分を負担するというのが不文律かもしれません。

パソコンやインターネットなどのOA化は? 
 残念ながら、これは極めて立ち後れている状況です。
 私の事務所のように、サーバーネットワークから独自ドメインまで揃っているところは極めて少なく、多くは、パソコンがあっても数台のスタンドアローンでワープロ代わりといった程度です。パソコンが無くてワープロ専用機だけといった事務所もまだ存在します。こういう事務所は、インターネットって何?という世界です(笑)。 電子メールを毎日使っている弁護士も、若手はともかくとして年輩の弁護士になると、数えるほどかも知れません。

監督官庁はあるの?
 大抵の組織には、どこかしらの役所から免許を受けたり許可を受けたりして監督されているものです。
 しかし法律事務所には監督官庁はありません。法務省も弁護士や法律事務所には一切関与しません。これは、「弁護士自治」といって、一切の公権力から独立して自由な存在として弁護士法に規定されているところです。
 なぜ弁護士法に弁護士自治が規定されているかというと、弁護士は、市民を擁護するために、国や公共団体に対する不正と闘ったりしなければならないこともあるので、この際に、監督官庁があると、自ずと発言力が抑制されてしまうおそれがあるからです。
 もちろん、個々の法律事務所や弁護士が勝手にやっていたのでは抑制が利きませんので、監督官庁が無い代わりに、弁護士会が弁護士を監督するシステムになっています。したがって非違行為のあった弁護士は、弁護士会内に設置された懲戒委員会・綱紀委員会によって裁かれることになります。これらの委員会の構成メンバーは、毎年弁護士の中から選任されますが、一般市民の声も尊重するために、裁判官や検察官などにも委員になってもらって、公正な懲戒を行えるよう厳格に運営されています。懲戒を受けた弁護士は、除名されたり業務停止させられたり戒告を受けたりします。

看板や広告は出せないの?
法律事務所のテレビコマーシャルって見たことないですよね。当然です。今のところ、弁護士は広告が禁止されていますから、コマーシャルはできません。
 事務所のあるビルの袖看板などは例外的に出せますが、派手なものはダメです。
 したがって、法律事務所は、大都市には結構あるはずなのに、秘密のヴェールに包まれているように見えるのです。
 しかし、平成12年10月には、弁護士会の内規が改正され、広告が自由にできるようになります。そうなると、法律事務所のコマーシャルやチラシ、DM、メールマガジン、ホームページが次第に増えてくるのではないでしょうか。
 

<東京弁護士会所属>
弁護士 小 川 義 龍
<第一東京弁護士会所属>
弁護士 遠 藤 幸 子

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小川綜合法律事務所

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