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弁護士の報酬 ―総論―


 

●弁護士の報酬には何か基準があるのか? 


日本弁護士連合会の内規として「弁護士報酬規定」というものがあり、これを受けて各地方単位弁護士会でそれぞれ多少の修正を加えた「弁護士報酬規定」がありました。しかし平成16年4月1日からこれらは撤廃されました。
現在は、各弁護士が所属事務所において独自の報酬規定を定立してこれに基づいて説明・請求することになっています。
詳細は 、弁護士会のホームページをご覧ください。
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●弁護士はどうやって報酬を請求するか?


多くの弁護士が、①着手金と②報酬金、それから③実費を請求しています。このうち①と②をあわせて、「弁護士報酬」といいます。
<着手金>
事件の依頼を受ける時点で申し受ける費用です。原則として一括してお支払いいただき、この着手金がないと原則として事件処理を進めません。
ただ、実際、信頼関係のある依頼者とか困窮していてすぐ支払えない人の場合は、着手金は後払いとか分割とかにして受任してしまうケースも。
ちなみに弁護士の報酬には消費税がかかります。
<報酬金>
事件が終了して何らかの結果が出た場合に申し受ける費用です。着手金と同額以上となるケースが多いです。
たとえば、裁判で全面勝訴の場合は、報酬金は満額発生しますが、全面敗訴の場合はいただかないことになります。一部勝訴の場合は割合的に請求します。全面敗訴しても着手金は返還しないのに対して、報酬金は割合的に調整される点が両者の違いです。
<実費>
交通費、通信費、コピー代、申立印紙代などの実費です。殆どかからない案件であれば、いちいち清算せずに着手金込みにしてしまう先生も多いと思いますが、原則として、適宜清算してお支払いいただきます。
なお、渉外事務所(国際法律事務所)系では、海外の例にならって「タイムチャージ」で報酬請求するところも多くなっています。
これは、予め弁護士の時給を決めておいて、依頼案件を処理するについて何時間かかったか、時給×時間数で請求するやりかたです。ただ、依頼者にしてみれば単価は明朗でも、時間数が不明朗になりやすいという面があります。一日が36時間あるという先生もいるとかいないとか・・・(冗談) 
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●報酬説明義務と委任契約


弁護士は事件を受任するに際して、予め依頼者に対して報酬基準や報酬見込み額を具体的に説明することになっています。この説明のための冊子が弁護士会によっては用意されているところもあります。
そして報酬について十分説明して依頼者の理解を得た上で、書面で委任契約を締結することになっています。
したがって、報酬について理解できない場合には、委任する前に、弁護士に十分聞いておく必要がありますし、弁護士としては説明しなければなりません。
事件によっては決して安い出費ではありませんから、全部弁護士にお任せというのではなく、十分理解した上で依頼しましょう。逆に、報酬についてあいまいな説明しかしてくれない弁護士には依頼しないほうがいいかもしれません。こういう弁護士は殆どいないはずですけれども。
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●高い方が優秀な弁護士?


そんなことはありません。
得てして良心的な弁護士ほど、従来の報酬規定の再下限に近いところで報酬を請求していたような気がします。
看板の大きな大事務所とか高名な先生だと、それなりに報酬も高額で、支払う方にしてみれば、「これだけ払ったんだからさぞかし良い結果を出してくれるだろう」とか「優先してやってくれるだろう」とか思いがちですが、こういう因果関係はないと思ってください。
司法試験と司法修習という統一試験・研修を経て、かつ弁護士会の統一的監督や研修を受けつつ生きてきているのが弁護士ですから、よほど特殊分野でない限りは、弁護士の基本的知識やテクニックというのは、概ね横並びです。だから、報酬が高い弁護士が優秀なわけではありません。逆に安いからダメというわけでもありません。
とはいえ、一般市民としては、弁護士を外見で判断するしかないわけで、そうであれば、報酬の高い低いよりも、事務所の雰囲気だとか弁護士の人柄・話し方などで判断した方がマシです。
ちなみに、私が仮に弁護士を依頼するとしたら、
・看板や事務所の大小は不問
・概ね弁護士経験5年以上30年以下(年齢・男女不問)
・報酬について十分説明してくれる
・事件の見通しについて甘いことだけをいわず、厳しい見方もできる
・事務職員の対応がいい
・派手な広告宣伝や営業活動をしていない
・弁護士会での役職(会長経験者とか)や経歴は不問
・質問に対して弁護士自身が親切に応対してくれるかどうか
・第一印象で「ヘン」じゃない(笑)
などの判断要素が決め手です。
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●報酬を取りっぱぐれたらどうするの?


幸い、私の場合はそれほど報酬の取りっぱぐれは多くありませんが、それでも大抵の弁護士が、報酬を払ってくれない依頼者に当たった経験があります。
まず着手金は、これがある程度揃わなければそもそも受任しませんから、取りっぱぐれはありません。実費もたいがいは前払いです。よほど信頼できる依頼者以外は、立替はしません。
問題は報酬金です。
被告事件の依頼者などは、依頼するときは切実にお願いに来ますが、いざ解決すると支払ってくれない人がタマにいます。被告事件は、全面勝訴しても被告としては何も得るものがありませんので、弁護士がいなくても同じだったと錯覚されるようです。
ですから、弁護士によっては、被告事件の着手金は、原告事件よりも高めに設定して、最終的に報酬金で調整する考え方の人もいるようです(報酬が取れなくても着手金で回収してしまう)。
原告事件の場合は、例えば相手から回収したお金を一旦弁護士が預かって、この中から依頼者の了解のもと、報酬金を相殺して渡したりすることが多いので、被告事件ほど取りっぱぐれはありません。
いずれにしても、弁護士費用が最終的に払えない場合でも、弁護士は商売人ではありませんから、事実をありのままに言ってくれれば、分割などに応じてくれる人が多いと思います。
要するに、ちゃんと仕事をした弁護士に対する礼を尽くしてくれれば、無理はいわないわけで、これを欠くと、こんどは弁護士が依頼者に対して債権を法的に請求する残念な事態になってしまうのです。でもよほど依頼者に不信がなければ、滅多に法的請求する弁護士はいませんけど(ナイショですよ)。
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●でもやっぱ、高いよなぁ・・・

 
このページを熟読しても、やっぱり弁護士の報酬は高いと思われる方は多いと思います。
ただ、今の弁護士業務は、既製品の大量生産販売ではなく、オーダーメイドの手作り限定生産販売だと思ってください。
依頼者の意見や個別の案件に応じて、弁護士がいちいち頭をひねり時間をかけながら一歩ずつ解決に向けてお手伝いしてゆく「職人」ですので、それなりの費用はかかってしまいます。逆に、大量生産ができないのが弁護士業務ですから(これは弁護士の数が増えても同じことです)、どうしても単価は上がります。
例えば、離婚調停事件を着手金30万円で受けたとしましょう。
弁護士は、依頼者との打ち合わせを最低でも4~5回はするでしょう。1回1時間以上の打ち合わせです。そして、調停となれば、申立書や資料を整えるのに何時間もかかります。さらに調停が始まれば、1回2時間くらいかかる調停に、事務所から裁判所まで往復1時間程度かけて、ほぼ半日仕事で取り組むわけです。これが1年も2年も続くことがあります。この間、追加資料を作ったり、相手方や裁判所と連絡したり、何か有効な攻撃防御方法はないかと頭をひねらせたり・・・。これを弁護士だけでなく、事務職員と連携して行っているわけです。
どうです、決して高くはないのではないですか。それでいて、既製服ではなくて、あなたのオーダーメイドなのです。
ちなみに事件依頼なんて毎日あるもんじゃありませんから、一日の売り上げゼロという日も多いのが法律事務所です。決して儲かる仕事ではありません。
それから、簡単に解決したケースであっても、弁護士がその名前と蓄積された経験を使ったからこそ短期円満解決したということを評価してください。
日本では無形の知的生産物に対する評価が低いような気がしますが(ソフトの違法コピーの横行などその最たるものです)、弁護士が何気なく提案した解決策というのは、多くの経験や弁護士の努力があってこそ提案できたものです。この解決策を弁護士が自信を持ってお勧めできるようにするために、弁護士は大きな努力を重ねて研鑽を続けているわけですから、知的生産物としての弁護士業務も理解して欲しいと思います。
時々、「先生、面談だと相談料がかかるんですよね。じゃぁ、電話でいいです。」といって、電話相談が無料だと勘違いされる方がいますが、よく考えてみてくださいね。
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●ちょっとくらいは、無料で仕事をせぃ!


弁護士会などでは、各所で無料法律相談会を開催するなどして、無償のリーガルサービスを図っています。また、法律扶助協会が設置する法律援助センターなどでは、資力の乏しい人のために無料相談所を常設しています。
このHPの<法律相談箱・掲示板>も、個人的な社会奉仕の一貫として行っているものです。別に対価が得られるわけではありません。
ただ、これはあくまでも法律相談のレベルでして、これ以上に、訴訟や示談交渉、書面作成を無料で行うことはあまりありません(全くないとはいいませんが、これはここの弁護士の考え方と裁量です)。
正式に依頼を受けた事件にまつわるちょっとした案件をオマケとして無償でやることはよくありますが、全部を無料で受任することはしません。
いくら弁護士が商売人ではないといっても、自分の生活や事務所を維持しなければいけませんから、報酬は頂戴しなければならないことは、いうまでもないでしょう。
そればかりでなく、受任した以上、報酬の多寡に関わらずベストを尽くすのが弁護士の義務ですから、報酬を頂戴しないで事件処理することは、報酬を頂戴して事件を依頼した方にとって失礼です。
また、無償であっても、弁護士としての責任は発生するわけで、無償の仕事で万一責任を負わなければならない事態になることは、人情的に釈然としないところです。
ですから、法律相談のレベルでは、無料相談を相当程度行っていますし、当番弁護や弁護士会活動などで、無償の社会奉仕を普通の人以上におこなっているはずので、この点を是非ご評価下さい。
なお、資力に乏しい方で勝訴の見込みのある訴訟事件や、生活保護受給者の破産申立については、法律扶助協会による弁護士費用立替の制度があります(「よくある質問集」参照)。 
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●ちょっとくらいは、無料で仕事をせぃ!


このページを熟読しても、やっぱり弁護士の報酬は高いと思われる方は多いと思います。
ただ、今の弁護士業務は、既製品の大量生産販売ではなく、オーダーメイドの手作り限定生産販売だと思ってください。
依頼者の意見や個別の案件に応じて、弁護士がいちいち頭をひねり時間をかけながら一歩ずつ解決に向けてお手伝いしてゆく「職人」ですので、それなりの費用はかかってしまいます。逆に、大量生産ができないのが弁護士業務ですから(これは弁護士の数が増えても同じことです)、どうしても単価は上がります。
例えば、離婚調停事件を着手金30万円で受けたとしましょう。
弁護士は、依頼者との打ち合わせを最低でも4~5回はするでしょう。1回1時間以上の打ち合わせです。そして、調停となれば、申立書や資料を整えるのに何時間もかかります。さらに調停が始まれば、1回2時間くらいかかる調停に、事務所から裁判所まで往復1時間程度かけて、ほぼ半日仕事で取り組むわけです。これが1年も2年も続くことがあります。この間、追加資料を作ったり、相手方や裁判所と連絡したり、何か有効な攻撃防御方法はないかと頭をひねらせたり・・・。これを弁護士だけでなく、事務職員と連携して行っているわけです。
どうです、決して高くはないのではないですか。それでいて、既製服ではなくて、あなたのオーダーメイドなのです。
ちなみに事件依頼なんて毎日あるもんじゃありませんから、一日の売り上げゼロという日も多いのが法律事務所です。決して儲かる仕事ではありません。
それから、簡単に解決したケースであっても、弁護士がその名前と蓄積された経験を使ったからこそ短期円満解決したということを評価してください。
日本では無形の知的生産物に対する評価が低いような気がしますが(ソフトの違法コピーの横行などその最たるものです)、弁護士が何気なく提案した解決策というのは、多くの経験や弁護士の努力があってこそ提案できたものです。この解決策を弁護士が自信を持ってお勧めできるようにするために、弁護士は大きな努力を重ねて研鑽を続けているわけですから、知的生産物としての弁護士業務も理解して欲しいと思います。
時々、「先生、面談だと相談料がかかるんですよね。じゃぁ、電話でいいです。」といって、電話相談が無料だと勘違いされる方がいますが、よく考えてみてくださいね。
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